河相VS柳

気合たっぷりにおめかしして、東條先輩たちにくっついて___さんの家へとやって来た。


「なんで後輩連れて来てん?」

「河相くんは___さんと仲良いんだよ?」


遊びに行くけど来る?って聞いたら行くって答えたから、と説明してくれる東條先輩。東條先輩はぼくの、ぼくだけの王子様ではなかったけど、やはり東條先輩は推せる。


「(それはそれ、これはこれってやつ)」


東條先輩のファンの一人として、ぼくはこれまで通り東條先輩と仲良くするだけだ。


「(あと、綾人が東條先輩に相応しくあるように努力させねぇと)」


そんなことを考えながら___さんの家へと辿り着き、綾人に若干睨まれつつ家に入った。


「ただいまー」

「おかえ、り…」


リビングに入れば、ミーコちゃんを膝に乗せて雑誌を読んでいた___さんが出迎えてくれた。んー、そんな姿も素敵…!


「チッ、なんで居んだよ兄貴、電話したろ」

「留守番を頼まれたんだよ」


そう言いながら雑誌を閉じ、ミーコちゃんを抱きかかえて立ち上がった。


「お兄さん、お邪魔します」

「お邪魔しまーす!」


東條先輩たちが挨拶をするので、ぼくも可愛らしく挨拶をする。


「お邪魔します、___さん!」

「は、はい、いらっしゃい…」


ゆっくりしていってね、と言って苦笑いをする___さんに、柳が袋を持って近付いていった。


「あ、あの!これお母さんからお裾分けです!」

「え?あぁ、ありがとう」


柳から袋を受け取ると、慣れた手つきで柳の頭を撫でて微笑む___さんに、ぼくは衝撃を受けた。


「(は、はぁ?!___さんに撫でられてなに照れくさそうに笑ってんだよチビが!)」


うらやまし、いや恋人であるぼくの目の前でそんなことを___さんにさせるなんて、なんて男だとぼくはすぐさま___さんに近付いて柳の隣に立った。


「___さん、___さん!今日のぼくはどうですか?」

「え?」


可愛らしい仕草で___さんを見上げれば、___さんは少し頬を染める。そんなぼくに何故か柳が口を開いた。


「そういえば今日の河相くん、すっごくオシャレしてるよね、どうしたの?」


どうしたの?じゃねぇよ。


「おい!河相!兄貴に色目使うな!」


ほらオレの部屋に行くぞ!と言って綾人がぼくを引っ掴んだ。


「やぁん!綾人先輩、乱暴しないでください!」


ぼくはか弱いんですから!とアピールしつつ大人しく引き摺られておく。今日は人も多いしこの姿を見せられただけで儲け物だ。


「(あとは東條先輩たちに___さんと仲良いアピールをすれば完璧)」


ふふふ、___さんとイチャイチャするのはまた今度、と思っていれば、柳が去り際に___さんに手を振って、___さんもにっこり笑って手を振り返した。


「(むむむむ…っ!)」


ちょっと周りから「柳って可愛いタイプだよな」とか言われてるからってぼくの目の前で___さんと仲良しアピールするなんてムカつく…!


「(___さんはぼくの恋人なんだぞ…!)」


そう思いながら柳を睨め、見つめれば柳が不思議そうな顔をした。


「……?河相くんどうしたの?」


その問いに、ぼくは可愛らしく微笑んで答えた。


「なんでもないですよぉ〜、柳先輩♪」


可愛さ勝負で負けてたまるか!


(END)-

主人公「(いつの間に俺の好みを把握してんだあの子…)」

 

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