黒髪の主人公・斗真編
眠いと小さくあくびをしながら大学へとやって来て、教室に向かってトボトボと歩く。
「(今日は、涼太は休みって言ってたな)」
涼太の居ない学校など全くもってやる気が出ない。とはいえ単位の為にもしっかりと授業を受けておかないと、と思いながらよそ見をして歩いていれば、曲がり角で人とぶつかってしまい、相手の荷物を盛大にばら撒いてしまった。
「あ、すまん」
流石にボーッとし過ぎた。後日、友人から涼太に俺のやらかした話などされたら鬱陶しいし格好が悪い。俺は軽く謝ってばら撒いてしまった荷物を拾う。
「……」
ぶつかってしまった人物は特に言葉を発さず、少し驚いた顔で俺を見て、すぐに同じように落ちている荷物を拾い始めた。
「はい」
手早く拾い、一つにまとめて差し出せば、黒髪の男がペコリと頭を下げた。
「(無口なやつだな)」
…………どっかで見たことあるような気がするが、そういう人物はよく居るもんだ。
「じゃあな」
それだけ言って俺は歩き出し、教室へと向かう。黒髪、黒髪か……、涼太が恋しいと思ってしまった。
「(……あー、今のやつ___に似てたな)」
ふと思い出した友人の顔、さっきのやつとホクロの位置が同じだった気がする。でもあいつの髪は黒ではなかったはずだ。
「(まぁ、そんなことはどうでもいい)」
退屈な日の授業を頑張って受けることに集中しよう。そう思いながら授業を受け、後日、滝本から一枚の写真を見せられた。
(END)―
滝本「これ___」
斗真「(……?この前見たやつに似てるな?)」
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