抜け出せない主人公・滝本編
ある日のこと。待ち合わせの公園のベンチに座って、秋人たちが来るのを滝本と雑談しながら待っていた。
「ちょっと遅れるらしい」
「ふぅん」
予定の時間より遅れるとのメッセージを受け取った滝本が眠そうにあくびをする。
「珍しいな」
俺がそう言えば滝本はスマホをしまって腕を組む。
「最近寝不足でな…」
睡眠はしっかり取らないと、と言えばそうだなと生返事が返ってきた。
「(漫画でも読んでよっと…)」
特にすることもないので、俺はスマホを取り出して時間を潰す。少し経って不意に肩に重いモノが乗ってきた。
「(…え?)」
まさか、嘘だろ?と思いながらチラッと横を見れば滝本が寝落ちしている。俺に寄りかかって寝ている滝本に動揺した。
「(えー、そんなコンディションで遊びに来んなよ)」
スヤスヤと寝ている滝本の体重が重く寄りかかって、俺は身動きが取れなくなる。お、起こす…いやでも寝不足とか言ってた友人を叩き起こすのは、ちょっと気が引けるというか…。
「(いやまぁ、滝本は既に秋人とつがいだからフラグの心配はないけれど)」
いやしかしこんなの秋人に見られたら面倒くさい痴話喧嘩に巻き込まれる可能性がある、それは避けたいのだが…!
「た、滝本ー…?」
名前を呼んでも反応なし、軽く揺すってみても反応なし。ガチ寝してんじゃん。
「(ええと、ゆっくりと離れて…、ベンチに寝かしてしまおう)」
それがいい、そうしようとスマホをしまってベンチに寝かせようと動こうとして、滝本の頭が俺の膝に乗ってきた。
「(………動けん)」
見事に膝枕状態になり、何故か滝本の右腕が俺の腰をがっちりホールドしてきた。
「(それをする相手が違くなぁい?)」
秋人にやれ秋人に!!その後、マサヤペアが先に到着してくれてなんとか脱出することができたが、その後、合流した秋人にマサヤがバラし、しばらくの間、笑い話扱いになった。……痴話喧嘩に巻き込まれるよりは、マシか?
(END)-
秋人「あぁ、滝本って寝る時なんか掴みがちなんだよな」
主人公「(わかるー、って顔してんなや)」
-