その男、無意識にかわす
「俺の部屋は二階な」
こっち、と言って友達の___が手招きをする。今日は初めて___の家に遊びにやって来た。少し緊張しつつ靴を脱いでついて行く。
「あ、ども…」
「おー、綾人居たのか」
リビングには入ると、これまで話に聞いていた弟が居たようで、軽く挨拶をすれば気まずそうにそそくさと、どこかへ行ってしまう。
「人見知りなんだよ」
昔から、と言いつつ気にも留めないで歩く___。うん、その話も前に聞いたな、と思いつつ___の部屋へと案内される。
「(おぉ…、なんか変な感じだ)」
テキトーに寛いで、と言って部屋を出て行く___。キョロキョロともう一人の友達と一緒に部屋の中を見回した。
「エロ本とかどこに隠してるかな?」
「おいおい…」
友達の家に来てそれかよ、と笑いつつ一応探してみるかとベッドの下を覗いたりしていたら、何やってんだよと___に怒られた。
「追い出されたいのかー?」
「ごめんごめん」
このやろう、と言いつつ笑い合いながらジュースを差し出す___からジュースを受け取り、雑談したりゲームをして遊ぶ。
「(へへ…)」
実は俺は___が気になっている。それがどう言う感情なのかはまだよく分かってないけれど、こうして仲良くなれてきて嬉しいと思っている。
「(普段は滝本が隣にいることが多いからなぁ…)」
仲良くしたいだけなのになんか威嚇されたりすることもあって、なかなか___に近付けなかった。そんな滝本に臆せず俺は___と仲を深めつつある。
「そうだ、今度さ遊びに行かない?」
「どこにだ?」
ふと___が思い出したと声をあげ、もう一人の友達が場所を聞く。
「ほら最近できたゲーセン、新しいゲームがあるらしいんだよ」
「へぇー」
面白そうだなと思い、行こう行こうと話が進む。いいな、___ともっと仲良くなれればもっと親密に…なんて考えてウキウキしながら過ごして、遊びに行く前日になって電話がかかってきた。
「マサヤ、___くんから電話よ」
「はーい」
時間と待ち合わせ場所の確認だろうか?と思ってカーサンから受話器を受け取る。
「もしもし?」
「あ、マサヤ?ごめん俺、明日は行けなくなった」
え、ま、マジかよ…?!
「代わりにさ、そのゲーセンに詳しいやつを誘っといたから今度どうだったか教えてくれよ」
それじゃ意味ないじゃん、とは思いつつもう約束してしまったらしいのでその人物の名前と特徴を聞いておくことにする。
「えーっとな、洋司ってやつで、黒髪だよ」
「わかった…」
話を聞き終えて受話器を戻し肩を落とす。はぁ、ショックだ…、せっかくのチャンスだったのに、と落ち込むが仕方がない。
「(黒髪の洋司ね)」
初めて会うやつだな、___とはどこで知り合ったのだろうか?と思いながら俺は眠りについた。次の日、それが俺にとっての運命の出会いになるとは思いもしなかった…。
(END)-
マサヤ「___って罪深いやつだったよな」
主人公「は?」
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