抜け出せない主人公・三郷編

うつらうつらとしながらゆっくりと目を開ける。春の陽気に誘われて、いつの間にか寝ていたようだ。

 

「(……お昼寝しちゃった感じかな)」

 

今週は特にBLイベントの遭遇率が多くて疲れてしまったようだ。えーと、寝る前はなにしてたっけな…?と考えながら背伸びをしようとして腕が動かない。

 

「(いや腕だけじゃなく体が動かないんですけど?!)」

 

何かに身動きを封じられていると気が付いてハッとする。

 

「み、三郷くん…!」

 

その正体は俺をがっちりと抱きしめて寝ている三郷くんだった。気持ちよさそうにすやすやと寝ている三郷くんに抱きしめられていた。

 

「(あ、足まで…!)」

 

それはもうがっちりと、大きい腕と足、体が俺の身動きを封じてくる。

 

「むむむ…っ!」

 

精一杯の力を振り絞って、抜け出そうとあれこれと頑張ってみるが全て無駄に終わる。

 

「ムリ、ビクともせん…」

 

ぜぇぜぇと息を切らし、全く変わらない状況に俺は放心する。

 

「……___さん」

 

むにゃむにゃと幸せそうな声で俺を呼ぶ三郷くん。起こすのは、出来そうにない…。

 

「(……どうせ休みの日だ、もう一眠りしよ)」

 

俺は考えるのをやめた。

 

(END)-
三郷「___さん…!も、もう持てへんよ…」
主人公「(どんな夢見てんだ?)」

 

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