抜け出せない主人公・東條編

「……んん?」

 

目を覚まし、見知らぬ天井に俺は飛び起きた。

 

「(ど、どこだここ?!)」

 

えーと、昨日は確か…、そうマサヤの家で宅飲みして、それで…途中からの記憶がない。え?お持ち帰りされたの俺?!それはマズイですよ?!と痛む頭を撫でていれば、膝が重いことに気が付いた。

 

「!?」

 

その正体を確認して俺は驚く。寝巻姿の東條くんが俺の膝を枕にして寝ているではないか。

 

「(つまり、東條くんが俺をお持ち帰りした…と?)」

 

また公園で寝てしまっていたのかもしれない、そしてまた東條くんがそれを発見して…。

 

「……つまりここは東條くんの家か」

 

少しずつ冷静になり、現状を把握する。枕をぎゅっと抱きしめながら寝ている東條くんの肩を叩いてみる。

 

「と、東條くん?」
「んー…」

 

普段のセットされた髪ではない、少しボサっとしている東條くんの姿は珍しいなと思いつつ、起きて、と揺すってみる。

 

「……___、さん」
「お、おはよう東條くん」

 

気怠そうな東條くんがのそっと起き上がり、ぼやーっとした目で俺を見る。なんとも機嫌の悪そうな顔だ、眠いだけなんだろうけれど。

 

「あのさ、きの、うっ?!」

 

昨日の夜のことを聞こうとしたが、東條くんが枕を手放して俺に抱きつき押し倒されてしまう。そうして規則正しい寝息を立て始める。

 

「ちょ、東條くん?!」

 

ジタバタともがいてみても、覆い被さられてしまっているせいで身動きが取れない。

 

「起きて!東條くん起きて?!」
「あと五分…」

 

それ起きないやつだから!ねぇちょっと?!俺の叫びは東條くんへ届かず抱き枕にされた。

 

(END)-
主人公「(マジで東條くん朝が苦手なんだな)」

 

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