抜け出せない主人公・加々美編

その日は夜になっても加々美が帰って来なかった。事前に遅くなるとは聞いていたが日付が変わっても帰って来ないと寂しいな、なんて思ってしまう。

 

「善照くん、加々美が帰ってきたらご飯あるって伝えてね」
「はーい」

 

流石にもう寝ないといけないので善照くんへ伝言し、俺はベッドに横になった。

 

「あ、加々美おかえり、___さんがご飯用意して…って加々美?」

 

どのくらい経ったのかは分からないが、善照くんの声が聞こえて目が覚めた。加々美が帰ってきたのかと理解したと同時に体にのしっと何かが乗っかってきた。

 

「……加々美?!」

 

乗っかってきたのは加々美だった。疲れているのか乗っかってきてそのまま眠ってしまった。

 

「か、加々美〜?」

 

名前を呼んでみたが起きない。加々美の寝息が耳元で聞こえてくすぐったくて、乗っかられているせいで重い。

 

「ありゃりゃ…今日の依頼、大変だったのかなぁ?」

 

ふふふ、と微笑ましそうに俺たちを見る善照くんがそのまま何処かへと行ってしまう。ちょいちょい、二人きりにさせないで、君は俺に取り憑いてるんじゃないのか?!

 

「ふぬぅ…!」

 

上着脱がせたりとか布団掛けたりとかしたいので、なんとか抜け出そうと試みれば、ぎゅっと力強く抱きしめられてしまった。

 

「(……抱き枕にされた)」

 

はぁ、寝よう。俺は諦めた。

 

(END)-
主人公「(それにしても顔が良い…)」

 

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