抜け出せない主人公・柳編
「お邪魔します!」
「いらっしゃい」
休日に遊びに来た柳くんを出迎えて、俺の部屋に招き入れる。最近はぺこぺこする事も減ってきて、慣れてきたのかなと思うことが増えた。
「あ、あの、これ前に話したオススメの漫画です!」
是非、読んでほしいです!と言って差し出された本を受け取る。そういえばそんな話してたな、と思いながらじゃあ俺もオススメの漫画を、と参考書じゃないやつを手に取って渡せば、柳くんは嬉しそうに本を見る。
「い、いま読んでもいいですか?」
「いいよ、俺も読もうかな」
そう答えれば柳くんは嬉しそうに俺に近付き、背中合わせに座って漫画を読み始める。背中から伝わってくる柳くんの熱を感じながら、俺も漫画を読み始めた。
「(……うん?)」
暫くして背中が急に重くなったなと感じて、後ろを見れば柳くんがすやすやと眠っていた。え、寝てる…?!
「(めちゃくちゃ寝てるわ)」
気持ちよさそうに寝ている、それはもう気持ちよさそうに。えぇ…、どうしよう?横にしてあげるべきか?と思うが背中の熱が離れるのは、なんだか寂しいとも思ってしまった。
「(こういうのも悪くないか)」
好きな人と静かな時間を過ごす、か。俺は漫画の続きを読むことにした。
(END)-
主人公「(それにしても柳くんはまだ子供体温だなぁ…)」
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