写真
カタカタとキーボードの音を立て、パソコンに何かを打ち込んでいる椋木くんをベッドに寝転がりながら眺めている。真剣そう、に見えるが角度的にどんな顔をしているのかは分からない。
「(そうだ)」
ふと思い立ち、ベッドのフチに座ってスマホを椋木くんへ向け名前を呼ぶ。
「椋木くん、こっち向いて?」
「……!は、はい!」
俺に名前を呼ばれて嬉しそうな顔をして、振り向いたその顔をパシャリ。
「……え?」
椋木くんはなにをされたのか理解できず少し硬直し、写真を撮られたのだと理解すれば慌てて立ち上がり俺に近寄った。
「て、しゃ、え、あ…?!」
「あ、ごめん、写真嫌だった?」
椋木くんの慌てっぷりに軽率な行動だったかなと反省する。
「い、嫌では…ないですけど、突然だったので…、あぁいや、やっぱり俺の姿なんて残すべきでは…!」
「お、落ち着いて…」
どうどう、と肩を撫でてあげれば少し落ち着く。
「しゃ、写真…どうして?」
「あー、それはほら」
不思議そうな顔をする椋木くんの隣に移動し、壁に貼られている俺の写真を指差す。
「俺の写真はたくさんあるのに椋木くんの写真がないのは寂しいなって」
そう言ってにっこりと笑えば椋木くんは照れたように顔を赤らめる。
「___、さんは、俺の写真が欲しいんです、か?」
「そりゃ、好きな人だしな」
だからさ、と言ってスマホをインカメラにして俺はお願いをする。
「一緒の写真も撮りたいな」
その言葉を聞いた椋木くんは恥ずかしそうに顔を手で覆い隠してしまう。ダメかな…、と思っていれば身なりを整えさせてほしいと言って勢いよく部屋を出て行ってしまった。
「(ははは…)」
もう一度ベッドに座り、先ほど撮った椋木くんの写真を見る。うん、いい笑顔だ。
(END)-
椋木「と、整えました!」
主人公「(お風呂入ってきたのか?!)」
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