抜け出せない主人公・真山編

その日は真山の家に遊びに来て、俺はBL本を読みながら寛いでいた。……別に読みたいから読んでるわけではなく、真山から感想が聞きたいと言われて渋々読んでいるだけだ。


「(ま、参考になるからいいんだけど)」


既に真山と成立してるとはいえ、BLイベントには巻き込まれてしまうし、他のつがい共に振り回されるのは勘弁願いたい。


「(それにしても…)」


チラッと本から目を離し、真山を見れば鬼の形相で原稿と向き合っている。あと少しで描き終わるんだ!と言っていたが、あんな顔して漫画って描くもんなんか?


「……っ!出来た!」

「おー、お疲れ様」


そんな事を思っていれば、原稿を描きあげたらしく、真山はバッ!と両手を上げて喜んでいる。良かったな、と思いながら再び本に目を向けて続きを読もうと思ったら、不意に膝上に重いモノが乗ってきた。


「うお?!」


なんだ?!と思って確認してみれば、真山が俺の膝上にうつ伏せで乗りかかり脱力していた。


「脱稿し…ぐー…」

「おま…、マジか…」


なんでそこで寝るんだ。ていうか寝てなかったのか?!いやそういえば家に来た時からずっと作業してたっけ…。


「(……起こしづれぇ)」


普段なら頭を軽く引っ叩いてやりたいところだが、流石に仕事を頑張った人間に対してそれは、ちょっと…。


「……はぁ」


仕方がない、まだ本も読み終えてないし、暫く寝させてやるか…。俺は本を読むのを再開した。……その後、真山が目を覚ましたのは夜だった。


(END)-

主人公「あー…、母さん?俺、今日は友達の家に泊まってくー」

 

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